新人が3ヶ月で辞めるのは、採用の問題ではない──「受け皿」がないクリニックに起きていること
この記事の結論
新人が3ヶ月で辞めるのは採用運ではなく、入ってからの3ヶ月に「受け皿」がないからです。辞めない院には、①誰に聞けばいいかが決まっている、②最初の1ヶ月で覚えることが紙に書いてある、③「できた」を誰かが言葉にして返す、の3つがあります。採用方法を変えずに、平均勤続が1年未満から5年になった院があります。
「今度こそ、いい人を採った」
そう思って迎えた新人が、3ヶ月で辞める。
また求人を出す。面接する。「今度こそ」と思う。また3ヶ月で辞める。
このループに入っているクリニックを、私は何院も見てきました。
そして院長先生は、ほぼ例外なくこう言います。
「うちは、採用運が悪い」
20年、美容クリニックの全職種を歩いてきた人間として、はっきりお伝えします。
運ではありません。
新人が辞めるのは、「入ってから」の話
採用で人を選ぶことはできます。
でも、その人が3ヶ月後に残っているかどうかは、採用では決まりません。入ってからの3ヶ月で決まります。
そしてその3ヶ月で、新人が何を見ているかというと、こういうことです。
「この備品、誰が補充するんだろう」
「これ、聞いていいのかな。誰に?」
「先輩によって言うことが違う」
「私、今なにをすればいいんだろう」
答えが見つからないまま、新人は「察して動く」ことを求められます。
察せなければ「気が利かない」。察して動けば「勝手なことをするな」。
これで3ヶ月もてば、むしろ立派です。
辞めない院と辞める院の、たった1つの違い
私が看護師長として入った皮膚科・美容皮膚科は、「1年いれば長い」と言われる院でした。
1年後、平均勤続は5年になりました。
採用の方法は、変えていません。
変えたのは、「入ってから何をするか」が決まっている状態をつくったことだけです。
辞めない院には、新人が入った日に、こういうものがあります。
- 誰に聞けばいいかが決まっている:「分からないことは〇〇さんに」と、名前で言える。
- 最初の1ヶ月で覚えることが決まっている:紙に書いてある。先輩によって変わらない。
- 「できた」が見える:できるようになったことを、誰かが言葉にして返す。
どれも、お金はかかりません。
でも、この3つがない院では、新人は「自分が悪い」と思って辞めていきます。
「気を利かせて」が、新人を潰す
経験の長いスタッフは、「気を利かせて」と言われれば動けます。
何をどうすればいいか、自分で翻訳できるからです。
新人には、その翻訳機がありません。
「気を利かせて」は、新人にとっては指示ではなく、「あなたは分かっていない」という評価として届きます。
これが3ヶ月続くと、新人は自分を責め始めます。
「私には向いていない」「ここの人たちはすごい、私は無理」。
辞める理由を聞くと「家庭の事情で」と言います。
本当の理由は、ほとんどの場合、言いません。
採用を増やす前に、受け皿をつくる
広告を増やす前に、中を変える。
これは患者様の話だけではなく、スタッフの話でもあります。
採用を増やしても、受け皿になる仕組みがなければ、入ったぶんだけ辞めていきます。
求人費が増えて、教える側が疲弊して、残った人も「また辞めた」で士気が落ちる。
逆に、受け皿ができていれば、同じ採用で人が残ります。
残った人が次の新人の受け皿になり、院長先生が張りつかなくても現場が回り始める。
明日からできる、最初の一手
新人に、こう聞いてみてください。
「いま、聞きたいけど聞けていないこと、ある?」
出てきた答えが、そのまま、院に足りない仕組みのリストです。
それを紙に書き出して、「誰に聞けばいいか」を決める。それだけで、次の新人の3ヶ月が変わります。
よくある質問
Q. 新人が辞めるのは、採用で見極められなかったからですか?
違います。採用で人は選べますが、3ヶ月後に残っているかは入ってからの3ヶ月で決まります。「誰に聞けばいいか」「何を覚えればいいか」が決まっていない院では、どんな人を採っても辞めていきます。
Q. 新人が辞めない院には、何がありますか?
3つです。①分からないことを誰に聞けばいいか、名前で言える。②最初の1ヶ月で覚えることが紙に書いてあり、先輩によって変わらない。③できるようになったことを、誰かが言葉にして返す。どれもお金はかかりません。
Q. 今すぐできることはありますか?
新人に「いま、聞きたいけど聞けていないこと、ある?」と聞いてください。出てきた答えが、そのまま院に足りない仕組みのリストです。それを書き出して「誰に聞けばいいか」を決めるだけで、次の新人の3ヶ月が変わります。
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