後輩に注意できない自分を責めているリーダーへ──「注意しなくてよくなる現場」のつくり方
この記事の結論
後輩に注意できないのは、あなたが弱いからではなく、現場に仕組みが足りていないからです。目指すのは「注意が上手なリーダー」ではなく「注意しなくてよくなる現場」。「気を利かせて」の代わりに「何が見えているか・なぜ必要か・どう動くか」の3つを伝え、「私がやればいい」をやめると、注意する回数そのものが減っていきます。
「後輩に注意しなきゃいけないのに、できない」
リーダーになったナースから、いちばん多く聞く言葉です。
言わなきゃいけないのは分かっている。でも言えない。
言ったら空気が悪くなる。嫌われる。辞められたら困る。
結局、自分でやってしまう。そして「私がやればいいんだ」と思い込んで、いつの間にか一番疲れている。
私も、そうでした。
受付・看護助手・医療事務・看護師・カウンセラー・マネージャー・統括。美容クリニックの全職種を20年歩いてきて、「注意できない」で苦しんだ時期が、私にもあります。
だから最初に、これだけ言わせてください。
注意できないのは、あなたが弱いからではありません。
「注意」が必要な現場は、仕組みが足りていない
そもそも、なぜ注意が必要になるのでしょうか。
備品が補充されていない。申し送りが抜けている。患者様への声かけが人によって違う。
これらは全部、「誰がやるか」「どうやるか」が決まっていないから起きています。
決まっていないことを、人は毎回「察して」やらなければならない。察せなかった人に、リーダーが「注意」する。
つまり、注意が必要な現場は、注意する人の問題ではなく、仕組みが足りていない現場です。
注意するのが上手なリーダーになる必要はありません。
注意しなくてよくなる現場をつくる。目指すのは、そっちです。
「気を利かせて」と言っているうちは、ずっと注意し続ける
注意できないリーダーが、代わりによく使う言葉があります。
「もうちょっと気を利かせてね」
「自分で考えて動いてほしいな」
優しく言っているつもりでも、これは指示ではありません。評価の言葉です。
言われた後輩は「何をどうすればいいか」は分からないまま、「自分はダメだと思われている」ことだけを受け取ります。
だから、同じことがまた起きる。また注意が必要になる。また言えない。
このループから抜けるには、言い方を優しくするのではなく、言葉の中身を変える必要があります。
注意の代わりに、3つのことを言う
「気を利かせて」の代わりに、この3つを言ってみてください。
- 何が見えているか:「3番の処置室、ガーゼが残り2枚だった」
- なぜ必要か:「次の患者様が入る前に切れると、処置が止まっちゃう」
- どう動くか:「5枚切ったら補充、で回そう。補充は午前の担当がやる形でいい?」
これは「注意」ではありません。事実と、理由と、動き方の共有です。
言われた側に「責められた」が残らない。残るのは「次からこうすればいい」だけ。
そして一度この形で伝えると、次からは「ガーゼ、お願い」の一言で動きます。
注意する回数が、減っていきます。
「私がやればいい」をやめる
最後に、一番大事なことを。
注意できないリーダーの多くは、代わりに自分でやっています。
備品も自分で補充し、抜けた申し送りも自分で埋め、後輩のフォローも自分でする。
これを続けると、現場は回ります。リーダーが倒れるまでは。
「私がやればいい」は、優しさに見えて、仕組みをつくる機会を奪っています。
あなたが補充してしまうと、「誰が補充するか」は永遠に決まりません。
やらないことから、始めてください。
空いたところに、仕組みが入ります。
よくある質問
Q. 後輩に注意できないのは、リーダーとして失格ですか?
失格ではありません。注意が必要になる現場は、注意する人の問題ではなく、「誰がやるか」「どうやるか」が決まっていない現場です。仕組みが足りていないだけで、あなたの性格の問題ではありません。
Q. 「気を利かせて」と言ってはいけないのですか?
優しく言っても、それは指示ではなく評価の言葉として届きます。後輩は「何をどうすればいいか」は分からないまま、「ダメだと思われている」ことだけを受け取ります。代わりに「何が見えているか・なぜ必要か・どう動くか」の3つを伝えてください。
Q. 自分でやってしまうのは、なぜよくないのですか?
あなたが補充してしまうと、「誰が補充するか」は永遠に決まらないからです。「私がやればいい」は優しさに見えて、仕組みをつくる機会を奪っています。やらないことから始めると、空いたところに仕組みが入ります。
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